エイミーは泣く

正直ただの雑記

10/20

昨日は待望のレコーディングだというのにメンバー3名ともが風邪をひいてスタジオに到着した。

エンジニアとはすでに伊藤さんが話をつけてくれていて、説明を受けた後、ドスケベがドラムどりに入っていった。

自分の、または三人で作った曲なのに周りが一生懸命動いてくれているのは妙に感じるばかりだったが、伊藤さんが打ち合わせがスムーズに行くように、拍や小節を事細かに調べて紙に書いてくれていて、勝手に恩返ししようと思った。

メンバーや伊藤さんはあれやこれやと気を揉んで、いろんな話をしていたが、俺はボケーっと座っているだけだったように思う。

これまでのことを自虐ならいくらでもできるが、これからはそんなものじゃなく、確信などなくていいから何かに歯むかえるだけの自尊心が欲しいなぁとか思っていた。

10/17

ベッド際に立てかけていたアコースティックギターが地面に叩きつけられた音に驚いて目を覚ました。

時刻は12時前。

昨日、風邪をおして枯れたのどで無理に歌ったせいで久々に喉を枯らしたが、一晩寝れば案外と悪い状態ではなかった。

熱は下がった。

 

最近は曲は作り続けてはいるものの、「これ」といった曲ができずに、少しだけイラついた状態で過ごしている。

自分のことを歌にして発散しているのが凡人で、そんなもので人が救えるわけもなく、結局死のうと思えば「タクシードライバーブラインドネス」を聴いても死ぬし、どんなにいいものがあってもそれは「無理無理、簡単に言うなよ」に収束。

そのくせに、評価されようと思ったら他人の際限ない賞賛が惜しみなく必要だから難しい。

残念ながらどれだけ振り回してもどれだけ瓶底を殴っても中身からはサラサラの粉が溢れるだけで、今日も俺は昔あいつやこいつが落としていった遺骨を拾いに戻るだけであった。

 

瓶に詰めた骨は軽くて憶い。

 

ふと、そういうことをしている時に、ふたの裏側には、乾いた骨の粉末が硬くなってへばりついていることがあって、それを見るたびにちょっとだけ申し訳ない気持ちになる。

高校時代、朝食を作るのが面倒な朝、冷蔵庫を漁って見つけたジャムの瓶のふたの裏、へばりついた少しだけ濃いジャムにナイフを擦り付けて薄いパンに塗る時は「しめた」と思ったのに。

「空気読めるやつが誰も傷つけないようにしてることが俺たちを余計惨めにしてるからウケますね」ってわざわざ俺に言った意味を今更見つけた時はそうは思えないからまだ俺は空気読んでるんですかね。

10/9

泥のように眠って昼前に起きるも起きる気はせず。

ベッドの上で昔買った中島らもを読んでから夕方ごろ起床。

流し台でカップ麺を作ってさっさとすすってスタジオの準備をした。

 

歩いて駅前まで向かう。

ギター担ぎながら歩いているやつを見て「かっこいいなぁ」と思った高校生の時も、実際バンドをはじめてみて(俺はベースだったけど)打ちひしがれたことも、また始めたことも、今度はギターになったことも、今は一周回ってフジファブリックが良すぎることも、昔と今はつながっていないようだ、とは思っているのだけれど、冷静に考えれば昔のしでかしたことが未だに尾を引いて人間を作るのだから当然であるようだ。

昔の嫌なことを思い出すのも嫌になるが、確実にそれが尾を引いていたり、逆もまた然り。

 

電車の中でコンビニで買った酒を飲んでいたら目の前に老人が立った。

無言で立ち上がって寄り掛かる壁を探しに歩く。

「ありがとう」と後方から聞こえたが、俺は無視して優先席付近まで歩いてからだとギターをもたげる。

揺れに合わせてビールがぽちゃん、と音を立てているのがわかったところで渋谷に着いた。

10/6

メンバー三名で一丸となっているバンドも、時に嬉しいことがあればまたそれを獲得するための苦痛も伴うもので、前日のスタジオはまさにそれだった。

 

曲のアレンジに苦心し、立ち回りやその他要求されることに憔悴し、それでもなんとか続けていけているように気合いを入れるの繰り返し。

 

しんどいならやめちまえ、と心ない誰かが言うが、しんどい以前に俺は、何か、言語では説明できないような感触が確かにあって、それが心地がいいから続けていけているのだ。

 

と、まぁ言葉にできないものは伝わるはずもなく、第三者の意思疎通の難しさのようなものには昔から悩ませられているのにもまた気づく。

この程度のことは悲しくも何ともないが、溜まった洗濯物やからになった財布を見て悲しくなることはたくさんあるので、まぁなんとも情けない。

 

ゴミ出しに向かう最中に、足元にタバコの吸殻が転がっていた。

ついでだし、と吸殻を自分の袋に収めてみる。

 

日々曲を書くときの、あの、いろんなやつの遺骨を拾う感触に似ていた。

言葉では説明できないから伝わらないだろうが。

10/3

唇にへばりついた口内炎に前歯がこすってじんわりと痛んで嫌な気分だった。

 

昨晩遅くに寝たのもあって少し遅めに起床した。

スタジオでずいぶん首を振ったせいか、首筋からその裏にかけて鈍痛が残る。

少々重たい体を引きずってテーブルの上の飲みかけのチューハイの中身を捨てて、足元に空き缶を放り投げる。

惰性で捨てる気にもならないゴミを床に放り投げるのが癖になってしまって、ずいぶんと汚い部屋になってしまっていた。

 

財布の中身を見て憂鬱になって、受からない昼間のバイトも高くつくスタジオ代や、腹なんか減らなければいいと思うほどに金をむしり取っていく食費も嫌になってしまう。

 

部屋の掃除をしていると、いふ区の山の中から1年以上前に下北沢でやった弾き語りのパスが顔を出した。

あの時はストレスもあったのか、少しイかれた自分に酔っていたのか、ギターを放り投げたり、天井にネックを突き立てたりしていた。

少し懐かしく思ったけど、1年前の自分が何を考えていたかは覚えていなくて、ただ、悲しかったのだけははっきりとしていた。

 

バイト求人サイトで見つけた飲食店のバイトに応募して二週間経ったが、未だ連絡は来ず、俺は見ず知らずのやつにすら拒まれるのか、と少し悲しくなった。

 

腹は問答無用で減ってしまうから悲しかった。