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エイミーは泣く

自分語りばかりがたたり

俺は卒業式で泣く奴が嫌いだ

とにかく嫌いだ。大部分を敵に回すが、とにかく嫌いだ。

 

まぁ話を聞けよ。

別に理由もなしに嫌いなんじゃない。

俺が卒業式前の練習で感極まり、俺の後ろで泣いている女子に「食らえ!」と言って放屁し、ひんしゅくを買ったのも関係がない。

実はお前らがかわいいって言ってたあの子と俺はチューしたことがあって、俺がかわいいと思ってたあの子はあいつとセックスしてたってことも関係ない。

 

ただ、念頭に置いといて欲しいのは、俺は人とは若干感性が違うし、変な考えの持ち主だってこと。である。のだ。

 

スゲェ回りくどいとこから入らせてもらうけど、人間として他者を傷つけたことがない、と胸を張って言える奴はこの世に何人いるだろうか。

 

これはものすごい極論なので、もっと具体的に。

三年間の学校生活、誰の尊厳も心も踏みにじらずに、他人に何の傷も負わせずに送れたというものは、いるだろうか?

 

絶対いないと思う。

 

恋愛にはライバルはつきもので敗者は必ず心に傷を負う。

スポーツは勝つか負けるかの二元論。勝った者は負けたものを踏みにじったと同様。

人間と嫌という程関わらせられるのが学校。

関わる上で傷つけるのは、避けては通れないのだ。

 

しかし、上の次元とはまた違う、いわゆる、故意に人間を踏みにじること、に関しては、どうか?

 

いじめが一番わかりやすい。

次に、喧嘩。

次に、自己の保身のための他者の犠牲、などなど。

まぁ難しく書いたけど、わかるでしょ、言わなくても。

 

大なり小なり、やったこと、あると思う、全員。

これもある意味、やらなくていいのに、やってしまうんだ、人間は。

その悪質度が差があれど、やってしまうことは、多分絶対避けられない。

 

 

 

俺は、卒業式で泣いてるやつが、気になって仕方ないのだ。

「こいつ、悦に浸って、自分のドラマをなぞって勝手に感極まって、果たしてお前は小説の主人公のように無垢か?」

 

小説の主人公はマジで無垢。洗いざらしたしろいTシャツ。

ページで描かれたこと以外はできない代わりに、人を傷つけるようなことは、おそらく作者が命じない限り、することはないのだ。

 

「お前はそんな奴じゃねぇだろ?あ?」

俺は、18でおよそ初めてのこの感情を、なんだかすんなりと「歓迎できてしまった」

簡単に言っちまえば、まぁ、むかつく、ってやつ。

 

泣いてるこいつに、今までの自分の綺麗な部分だけ切り取って喜んで泣いてるこいつに、めちゃくちゃにされたやつが影にいるのだ。

多幸感に浸るあの子のせいで、どうしようもなく心がぐちゃぐちゃになった子がいるのだ。

そう考えると、俺は、泣いてる連中を見ると、すごく腹がたつのだ。

やりきった顔をする奴らをぶち殺したくなるのだ。

 

別に、一生悔い改めろ、とかは言わないよ。

けど、何?お前ら、思い出に浸って泣いてるけど、そこに傷つけた人間の顔は浮かばないのか?

傷ついた人間が今でも心に爆弾を抱えて抱えて、潰れてぶっつぶれて、知らない間に限界を迎えてるのもどこ吹く風、俺は幸せ。

 

って、は?

殺してぇ。

 

限定され、切り取られ、逃げ場のない空間である学校で、いろんなことがあるだろう。

その、綺麗な部分だけを抽出したのがあの涙だ。

涙の陰には、ナイフでメッタ刺しの死体の山がボロボロになって、悪臭を発している。

お前の涙を見て、心が冷える奴がいるとは思わないのか?って。

 

 

何より俺が嫌なのは俺自身のことだ。

俺は、なぜこいつらがムカつくのかというと。

 

昔しでかしたことがいつまでもちらついて、素直に「ああ良かった」で感動もできない冷めたやつ、つまり自分と、周りとの間の違いが理解できずにムカつくのだ。

 

「お前ら、俺と同じで周りを傷つけて立ってるだろ?何でそんな悦に浸れんの?は?」ってことであるよ、要するに。

 

まぁ小さい人間だけど、俺は、卒業式の日、いろんなことがちらついた。

 

喧嘩して大怪我させた奴もいた。

心ないことを言って傷つけた奴もいた。

自分勝手に扱った奴もいた。

 

そいつらのことを思うと、俺はここでドラマに浸る資格はない、と思った。

学校にいる間は、俺の「悦」からあいつらを守らないと、と、偉そうにも思った。

仮に俺がやられた立場だったら、俺だったらきっと嫌だから。

 

長くなった。

とにかく、俺は卒業式で泣く奴が嫌いだ。

 

今一度学校を出た後でいいから、思い出して欲しい。

 

傷つけた人も背負い込むのが人生で、忘れることはきっと、してはいけないことだ。

それは辛いことだし、無意識に忘れてしまうのだけれど。

それは、きっとやっちゃいけない。

 

反省と後悔が一番難しいのだ。人間にとって。