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エイミーは泣く

自分語りばかりがたたり

I'm ready to drop ah ah to drop so don't stop me...(台無しになる準備はできてるんだよ、あぁ、あぁ、止めんなよ、止めないで)

バイトと称して、高校生の頃死ぬほどお世話になったMr.鮫島の店でバーテンダーを生業にしてから、どうにもいろんなことが目についてしまって、俺の心がどんどん鋭くなって鋭くなって、些細なことにも落ち込んだり噛み付いたり、嫌なところは嫌に、いいところはいい風に、「hey girl!」なんてカリフォルニアコミュニケーション(略してカリフォルニケイション、レッチリに謝れ)もできなくなる。

 

夜勤に店長鮫島と二人で入り、俺はカウンターにつったつ。

夕勤の男子大学生(音大二年生で、ピアノがすごく上手、後彼女がブサイク、名前は吉弥とかいうクソ男前ネーム、彼女はブサイク)と軽く挨拶をして入れ替わりに入った。

 

カウンターバーということで繰り広げられる話みたいなものはみっともない話が多い。

俺がチョイスしてかけてるjack's mannequinの「everything in transit」が空虚に響く。

 

「男子なんて最低よ!」と喚き散らす女子大生に相槌を打ちながら、彼女の注文したカクテルを作るのだけれど、繊細なその女の子も結局は自分勝手で手前勝手な事情を盾に、楽に楽になりたいだけなのだ。

「辛かったね」なんて言葉は白々しいから言いたくない、だから黙って話を聞くだけ!

長い髪を強引にオールバックになでつけた僕はどこまでも薄情か?

白状したいが、随分と薄情。

 

たまに来る芸能人の仕事の愚痴もまぁまぁの重みがあるが、彼女たちは若さゆえの繊細さというか、難しいけど、まぁそんな感じのサムシングに傷つけられてるのだろうなぁ、と。

俺もだからわかる。

若いというのは、何かに期待してしまうことではなかろうか。

勝手に他者に期待して、勝手に期待が外れて傷つく。

 

そんなもん。

 

随分前になるけど、高校生の時も女の子の愚痴を聞いていたけど、今とは相当違って、気持ちがわからないけど、わからないからこそ一生懸命に励ますというか。

その女の子は高校を辞めた後、しばらく経ってから、図書館帰りの俺と駅でばったりと再会した。

横のおっさんと手を組んでいた女の子は、気まずそうな顔を通り越して泣きそうな顔をして、僕を無視したのだ。

「援交」なんて言葉は聞きたくなかったけど、世の中無常で、九州の片田舎でのこんな些細な不幸でも人は不快にもなるし気持ち悪くもなるし、世の中に出てないだけで何人が不幸になったのかね、神様なんて、いないんじゃないですか?それとも救う人を選んでんすか?

 

気持ちがわかったところで誰も救えない、勝手に救われるしかないし、勝手に大人になって、他に何かを期待するのをやめるしかないのだ。

 

頭じゃわかってても、未だに期待しちゃうし、俺は若いのかね。

若いか、20歳だし。

 

女の子が帰って、俺はカシスオレンジを薄めて作って飲んで、皿を洗って、店長とだべって、お客の相手をして。

 

ちょうどその日きていた革ジャンを着た若い男の人と喋っていたのだけれど、話がすごく面白い人だった。

俺は普段ゲラゲラ笑うことは(演技ならあるけど)あんまりなくて、上ずった声で笑うくらいには話が面白かった。

 

そのお兄さんが、お酒もそこそこ入ってぽろっとこぼした言葉があった。

 

「変人は、こいつは変人なんだ、って周りの期待に応えるのに精一杯よ。変なことをやって、期待を裏切らない面白いやつでいよう、ってさ。でも、時々、俺が素直に物事を述べると、あいつらバカにしてききやしないの!面白いよな、悔しいけどさ」

 

期待というのはどうも残酷なもののようだ。

簡単に傷付けるのだ、するやつもされる奴も。

 

俺は人を大事にできてるのかな?

そんなことを思いながら、今日もまた陽は昇っちゃうのね...なんて切なくなってしまう、演歌の歌詞みたいに。

 

演歌、ばあちゃんとよく聞いた美空ひばり藤圭子

 

ちょっぴり懐かしい。